自治体職員 のためのWeb文章作成術

自治体Webサイトのあるべき姿 ―再び「Public Relations」

■情報共有による共感の時代 ―ソーシャルメディアの台頭

 「情報公開から情報共有へ」。私が東京・中野区で、公式Webサイトのリニューアルを担当したときに掲げたキャッチフレーズです。

ともにまちを作り上げるには、情報を共有することが大前提となります。「知りたいなら教えてやらなくもない」という情報公開ではなく、正確な情報を、進んで、迅速に提供し、共有していくことが不可欠です。

 これは、当時の私が書いたもの。もう8年ほど前になるでしょうか。「21世紀の中野を考え実践する職員プロジェクトチーム」の提案書として、今でも区のサイトに掲載されています(※1)。隔世の感がありますね。

 本連載の第1回でご紹介した、青森県のWebマーケティングセミナーでは、「情報は発信するだけではダメで、共有、共感が必要だ」という発言がありました。また第20回では、「来るべきソーシャルメディア時代の新しい生活者消費行動モデル」として、「SIPS」(共感、確認、参加、共有・拡散)をご紹介しました。今や、「情報共有」による「共感」の時代です。TwitterやFacebookなどのソーシャルメディアの台頭が、それを物語っています。

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「JIS X 8341-3」は怖くない ―「アクセシビリティ」は「ダイアログ」

■相手の立場に立った情報提供 ―ダイアログ・イン・ザ・ダーク

 先日、ある自治体職員から、とてもうれしいメールをいただきました。メールには「“ダイアログ・イン・ザ・ダーク”に参加してきました。著書(※1)を読んで、ずっと参加してみたいと思っていたのです」と書かれていました。

 “ダイアログ・イン・ザ・ダーク”とは、エンターテインメント形式のワークショップで、<完全に光を遮断した空間の中へ、何人かとグループを組んで入り、暗闇のエキスパートであるアテンド(視覚障害者)のサポートのもと、中を探検し、様々なシーンを体験>するものです(※2)。中は本当に真っ暗で、「目が慣れる」ことはありません。全盲のアテンドと白杖(はくじょう) 、「初対面の仲間」の声だけが頼りです。仲間の声とは、「田中(自分の名前)は、今、橋を渡りました!左右に竹があって、その間を通る感じです」、「鈴木(自分の名前)も渡りました!丸太が3本の橋ですから、真ん中を通れば落ちませんよ!」といったものです。

 例えば、「ここに赤い橋があります」と言われたら、「ここ」がどこかわからず、色も見えません。見えないことを前提に、相手の立場に立って情報を提供しなければ、仲間は川に落ちてしまうかもしれません。木に激突してしまうかもしれません。これは、Webアクセシビリティ(※3)も同じではないでしょうか。

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「見やすさ」≒「分かりやすさ」 ―Webデザイン・レイアウトは文章の理解を助ける

■分かりやすい文書構造
―視覚的な面での配慮も必要

 本連載の第1回目「分かりやすいWeb文章の要素」を覚えていらっしゃるでしょうか。Web文章の分かりやすさを左右する要素として、四つの「構造」と一つの「マインド」」を挙げました。その四つのうち、二つ目の「文書構造― Document」について、客観的に評価できる方法を見つけたので、ご紹介します。

 「文書」とは、ドキュメントのこと。つまり、写真や図表、レイアウト、デザインなど視覚的な要素も含めたものを、ここでは「文書」と呼んでいます。文章の分かりやすさだけではなく「見やすさ」も、分かりやすいWeb文章作りには欠かせないものです。図表や写真を使ったり、文字の大きさや位置に配慮したりと、視覚的な面で工夫をすることも重要です。

 では、写真や図表はどのくらい、どのように使えばいいのでしょう。今まで私は、「文章と図表の比率は5対5くらい」と考えていました。しかし、その根拠はあいまいです。また、デザインは感覚的、主観的なもので、評価のしようがないと思っていました。ところが、デザインの分かりやすさを客観的に評価する方法があることを、つい最近、知りました。

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Facebookページの活用 ―佐賀県武雄市の公式Webサイトウォッチング

■公式WebサイトをFBページに移行
―佐賀県武雄市、自治体で初

 <佐賀県武雄市は8月から、公式ホームページを交流サイト「フェイスブック」(FB)に移行し(図1)、従来のホームページを閉鎖した。FBへの完全移行は自治体で初。アクセス数は移行後3週間で約24万件に達し、福井市や福岡市から行政視察が相次ぐなど注目度も高い>とのこと(8月27日付産経新聞)。今回は、武雄市FBページを通して、自治体がFBページを活用するメリット・デメリットを考えてみたいと思います。

図1 佐賀県武雄市のFBページHOME
Fbtakeo

一般的な自治体Webサイト同様、「くらしの便利帳」などの基本メニューや、災害情報、新着情報が表示されている。

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ソーシャルメディア利用の目的 ―「まんべくん」事件の教訓

■イマドキの生活者消費行動モデル ―ソーシャルメディア活用のヒント

 株式会社電通は、「来るべきソーシャルメディア時代の新しい生活者消費者行動モデル」として、「SIPS」を提唱しています(※1)。これは、以下の4要素の頭文字です。

S(Sympathize : 共感する)
I(Identify : 確認する)
P(Participate : 参加する)
S(Share & Spread : 共有・拡散する)

 このモデルではさらに、「参加」のレベルを4段階に分けています。

  1. ゆるい参加者
  2. ファン
  3. ロイヤルカスタマー(支援者)
  4. エバンジェリスト(伝道者)

 「ゆるい参加者」は、Twitterでフォローしたり、Facebookで「いいね!」をしたりする程度ですが、「ファン」になると、コメントや、会員登録するといった、やや手間のかかるコミュニケーションをとってくれます。支援者は、さらに建設的な意見をくれたり、インターネット上で批判された際も擁護してくれたりするレベル。伝道者に至っては、私的に応援サイト・コミュニティを立ち上げたり、他の人に売り込んでくれたり、競合の批判をしたりします。

 自治体も、イマドキの生活者の行動モデルから、ソーシャルメディアを活用するヒントが得られるのではないでしょうか。

※1 SIPS 株式会社電通のサイトより http://www.dentsu.co.jp/sips/

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Twitter・Facebook のスパムにご注意! ―楽しいコミュニケーションの落とし穴

■Twitterのスパム
―勝手にDM を送りつける

 8月初旬、Twitterユーザーのアカウントを乗っ取り、勝手にDM(ダイレクトメッセージ)を送りつけるというスパムが流行しました。友人が、次のようなツイートをしています。

注意!!フォローしてくださっている皆さま。DMで“Whatsso different about you in this pic” が届いたら、スパムです!クリックしないでください!

 その少し前、私にもおかしなツイートが立て続けに届きました。見ず知らずの外国人のユーザーが、私に対するメンション(※1)で、何やら英文のメッセージとリンクURLをツイートしているのです。英語力のない私は、いつもはそういったツイートを無視しています。でもその時は怪しいと思い、携帯電話からTwitterにアクセスし、リンクをクリックしてみました。すると、英語のメッセージが出て、リンク先のサイトにはアクセスできませんでした。

 携帯電話からのアクセスだったので事なきを得ましたが、これもスパムだったのでしょう。記事を書くために画面キャプチャーを取ろうと、そのツイートを探しても、見当たりませんでした。どうやら削除されてしまったようです。

※1 メンション
 「@ユーザー名」を含むツイート。特定の人または投稿について言及する時は、そのTwitterアカウントを本文中に書く。
例:次の例会、@ csms-writerさんは参加します?

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Twitter VS Face book―顔の見える、深く濃いお付き合い

■自治体のFace book利用状況 ―岩手県が災害情報の発信に活用

 Twitterが東日本大震災で活躍したことは、連載第14回(5月号)以降、ご紹介してきたとおりです。 では、Face book はどうだったのでしょうか。

 そもそも、大災害が発生した2011年3月11日以前からFace book を利用していた自治体は、私の知る限り三つしかありません。一番乗りは長野県小諸市でしょうか。次に岩手県広聴広報課、佐賀県武雄市と続いています。(※1)

 このうち、甚大な被害を受けた岩手県は、地震発生日以降の投稿数が激増しています。県の公式サイトは、停電や急激なアクセス増加により、情報発信することができなくなったためです。TwitterとFace book で情報を迅速に発信し続けた結果、ファンも増えたようです。

※1  Face bookページ開設年月日ではなく、ウォールへの投稿年月日の早い順に掲載した。ウォールとは、利用者本人とその「友達」の投稿が一覧表示されるページを意味する。

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クレームを未然に防ぐ ― Twitter でアクティブサポート

■デマで自治体に苦情殺到 ―川崎市の「放射能ごみ問題」パニック

 川崎市の阿部孝夫市長は、福島県知事と会談し、震災で大量に発生した粗大ごみを受け入れることを表明しました(平成23年4月8日読売新聞)。ところが、その翌日あたりから、Twitter上で不安の声が上がり、それは徐々にエスカレート。4月13日の共同通信の記事によれば、「(福島市出身の)市長の売名行為だ。リコールする」などの苦情が殺到し、その数は2千件を超えたと報告されています。

 その結果、川崎市は公式サイト上で「放射能を帯びた廃棄物は処理しません」と発表するに至りました(川崎市公式サイト「被災地から発生した災害廃棄物の処理について」4月14日より)。

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役所のFacebookアカウント一覧

役所のTwitter利用は広まってきましたが、
Facebookはまだまだですよね。

今、どのくらいの自治体がFacebookを
使っているんだろう・・・と思い、ちょっと調べてみました。

 

以下、自治体のFacebookアカウント(ID)というか、
Facebookページの一覧です。

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Twitterのデマを見抜く ―想定外の状況での判断力を鍛える

■Twitterはデマ拡散マシーン?
―誹謗中傷、差別、風評被害

 東日本大震災に関連したデマには、「被災地では強姦や窃盗が多発している」、「富士山から煙が出ている」、「天皇陛下が京都に避難された」、「コスモ石油の爆発により有害物質が降る」、「川崎のゴミ処理場に放射能で汚染されたごみが投棄される」など、誹謗中傷、差別、風評被害につながるものが多数、見受けられます。これらの情報は、うわさ話、メール、Twitterなどで多くの人に伝達されました。特に、TwitterのRT(リツイート)機能は、一瞬で多くの人に情報を拡散することができるため、その伝達スピードはメールなどの比ではありません。

 なぜ人は、このようなデマを広めてしまうのでしょうか。

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