ビジネスメール

「お返事をいただけていないようです」は正しい表現?

こんな質問をいただきました。

「お返事をいただけていないようです。」
という表現は正しいのでしょうか。
市販のメールの書き方の本にもサンプルとして載っています。
私は、あまり好きではない表現です。

それ、わかります。。。

理由は、自分は返事をもらう権利があるのに、まだもらえていないという印象を受けるからです。

確かに!
私も、そう思います。

「お返事をいただいていません」と、ぴしゃっと言うよりは、配慮が感じられます。

でも、返事をする義務があるかどうかなど、状況によっては、感じの悪い言い方にもなりますよね。

 

「お返事をいただけていないようです」でカチンとくるケース

例えば、見ず知らずの会社から「アポイントのお願い」といった営業メールが来た場合などです。

こちらは返事をする義務はないのに、「お返事をいただけていない」といった催促メールが来たら、カチンときます!

ただし、「お返事をいただいていない」でもカチンときますけど(笑)

 

「お返事をいただけていないようです」を使わない書き方

逆に、お仕事をいただいた件で、こちらがお返事を忘れていたとか、遅くなった場合などは、「お返事をいただけていない」と言われても仕方ないことは確かです。

それにしても、「私は返事をもらう権利があるのに、あなたはちゃんとしていない」と責められている感じは出てしまいますよね。

むしろ、

  • 行き違いかもしれない
  • 自分が見落としているのかもしれない
  • 催促がましくて申し訳ない

といった配慮を示すために、

  • 「○月○日○時の時点では受信していないようなのですが、見落としているかもしれません」
  • 「お忙しいところ、催促がましくて恐縮です」

といった書き方のほうが、印象がいいかと思います。

いかがでしょうか。お答えになったでしょうか。

 

 

このような、言葉に対する「違和感」、「モヤモヤ」、ありませんか。

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出張中とか、お仕事の〆切が迫っているとかでなければ、ソッコーでお答えします(笑)

 

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読点「、」の適切な数は?

読点の打ち方3パターン

読点「、(テン)」の打ち方、どうしてますか?

次の三つの例文のうち、どの読点の打ち方が、しっくりきますか?

例文1:文と文とのつなぎ目だけに打つ

個人大工は一人ですべての工程を担当することはできないので普段から付き合いのある専門業者にそれぞれ声をかけることになります。

例文2:主語の後にだけ打つ

個人大工は一人ですべての工程を担当することはできないので普段から付き合いのある専門業者にそれぞれ声をかけることになります。

例文3:主語の後と文のつなぎ目と両方に打つ

個人大工は一人ですべての工程を担当することはできないので普段から付き合いのある専門業者にそれぞれ声をかけることになります。

読点の打ち方に関するお悩み

これは、「読点が多い」と指摘され、モヤモヤしている方からのご質問です。

この方は、例文1のような読点の打ち方をするそうです。

でも、「主語の直後に読点を打つ」文章もよく見かけるので、例文2のように修正したりする。

さらに、例文3のように、妥協して両方を採用してしまい、「後悔する」こともあるとか。

その結果、「一文に読点が多い」と指摘され、「細切れに読点を打ってしまうのが私の癖」とお悩みのご様子。

つまり、この方は「読点は少ないほうがいい」と思っていらっしゃる(教えられている)ようです。

そのため、「例文1のパターンで行きたいけれど、読み手は不自然に感じるものなのでしょうか」とのご質問でした。

小田流・読点の打ち方

小説などの文学作品はともかく、ビジネス文書では、「読点が少ないと読みづらい」と私は考えます。

そのため、私なら、次のように書き換えます。

小田の改善案:もっと読点を増やす!

個人大工は一人ですべての工程を担当することはできませんそのため普段から付き合いのある専門業者にそれぞれ声をかけることになります。

これは、小田の「読点ポリシー」が次のようなものだからです。

読点を打つケース
  1. 主語・主題の提示直後
  2. 日時や場所(「誰に」も含む)の提示直後
  3. ひらがなや漢字表記が続くとき
    例)例文1の「業者にそれぞれ」
  4. 動詞の連用形の後
  5. 対になる句の場合は接続のところだけに打つ
  6. 接続詞(句)の後
    ただし、文中に接続詞を使うと1文が長くなるので、接続詞は文頭だけにする
  7. 文中に長い句を挿入する場合?!
    文中に長い句を挿入する場合は、その前後に「、」を打つというルールもあります。でも、文中に長い句を挿入すると、文を理解しづらくなります。そのため、私は、長い句は注記にして、別の文にします。

※それぞれの例文や解説は、『令和時代の公用文 書き方のルール―70年ぶりの大改定に対応』(学陽書房)P.48・49をお読みくださいませ。

「一文一義」とか「1文1トピック」って、よく言いますよね。

文と文とを、接続詞や読点でつなぐのではなく、文を分割して短文化するのが小田流です。

適切な読点の打ち方、読点の数は?

JustSystems のサポートFAQに、「読みやすさの基準」が示されています。

そこには、「平均句読点間隔」として、以下の文字数が明記されています。

  • 社説:15文字
  • 教科書:11文字
  • マニュアル:8文字
  • 雑誌:13文字

さきほどの例文で数えてみると、以下のようになりました。

句読点間の平均文字数(カッコ内は文長→句点は除く)
  • 例文1:30字(60字)
  • 例文2:30字(61字)
  • 例文3:20字(62字)
  • 小田の改善案:12.6字(23+38字)

Microsoft Word の「読みやすさの評価」画面

(Microsoft Word で測定)

この例文は、JustSystems の「読みやすさの基準」で言えば、「雑誌」に分類されるでしょうか。

したがって、句読点間隔の平均値としては、「13文字」程度が読みやすい……

と考えると、例文1~3は、「句読点が少なすぎる」ことになろうかと思います。

おまけ

ちなみに、Microsoft Word の「読みやすさの評価」では、「句点の間の平均文字数」と表示されます。
でも、それでは「平均文長」と同じになってしまうのでは……
「句点の間」ではなく、「句読点の間」ではないかと思います。

 

 

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「させていただく」って謙譲語?

「させていただく」って、謙譲語じゃないですよね?

文化庁の敬語の指針には「…ていただく」は、謙譲語ってのってるので、いただくをつけること自体はいいとおもうんだけど

「させていただく」を、単体として謙譲語ですって表記してある書類を見てね。気になっちゃって。

こんな質問をいただきました。

そうですよね。
この方のように、「形態素」がわかっちゃう人は、ここに引っかかりを感じてしまうのではないかと思います。

「形態素」とは
形態素(morpheme)という単位は、意味を表す最小の記号で、それ以上小さく分割することができないものです。
『言語学の仕組み』(町田健著/研究社)より

例えば「お休みさせていただく」を形態素に分けると、次の図のようになります。

Photo_20220803193601

国立国語研究所の形態素解析ツール「Web茶まめ」による解析結果

 

つまり、「させていただく」は、

「させ」+「て」+「いただく」

と、複数の形態素で構成されているわけです。

この中の「いただく」が謙譲語なんじゃないの?
っていう疑問です。

 

私もそう思います。
でも、念のため、辞書を引いてみました。

 

辞書によれば「させていただく」は謙譲語だけど

辞書で「させていただく」を引いてみると、次のように書かれていました。

させていただく(連語)
「(Aに)させてもらう」の謙譲語
自分の行為について 、A に~させてもらうのだという捉え方をし、さらに「いただく」と謙譲語を用いて A を高める言い方。
A の許可を得て行う場面や、 A の意向によって行うと見なせる関係の場合に使う。
『明鏡国語辞典 第2版』(北原保雄編/大修館書店)より

(このほか、語法や注意事項が詳しく書かれているので、読んでみてくださいね)

 

「謙譲語」って書いてありますね!
ということは、「させていただく」は謙譲語……と言っても間違いではないのでしょう。

 

でも私は、
”「させていただく」が丸ごと謙譲語っていうのはおかしいんじゃない?”
というご意見にも賛成なんです。
「謙譲表現」くらいがイイんじゃないのかなぁ、と思っています。

 

そもそも、「語」って何なんでしょうか?

 

「語」って何だろう?

「語」を辞書で調べたら、次のように書かれていました。


一 名詞
(1)ことば。ことば遣い。また、言語。
(2)単語
二 造語成分
(1)かたる。はなす。(例:語気、語調)
(2)物語の略

『明鏡国語辞典 第2版』(北原保雄編/大修館書店)より

 

うーん、ざっくり(笑)
何でも含まれちゃう感じ。

 

ちなみに、私の本棚には、言語学の書籍がたくさんあります。

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でも、「語」の定義が書かれているものは、見つかりませんでした。
そこで、「単語」について調べてみると……

 

実は単語という単位はヨーロッパの文法で昔から使われてきた定義がそれほど明確ではないものなのです。
大雑把に言えば意味的にある程度のまとまりがあって文を構成する要素として一番小さな単位だと考えても構わないもののことです。
(中略)
「見る」とか「走る」という動詞そのものの意味を考えようとする場合などには、単語という単位を使うだけで済ませられるでしょう。
しかし動詞群全体のことを分析したり、名詞でも、例えば「お米」とか「暑さ」のような、複数の形態素からなるもののしくみを考えようとする場合などには、形態素にまで踏み込む必要があります。

『言語学の仕組み』(町田健著/研究社)より

とのことなのです。

「基本的には形態素を、文を構成する最小の要素として考えていく方が厳密な議論ができる」とも書かれていました。

 

一方で、厳密さよりもわかりやすさを優先すべき状況ってあるじゃないですか。
例えば、義務教育の国語の授業とか。
子どもたちにあんまり難しい、学術的なことを厳密に教えたって……ね(笑)

ということで、中学校の文法書を見てみました。
すると、

 

単語とは
意味を持った最小の単位
『的確につかむ文法の学習』(浜島書店)より

 

と書かれていました。

 

この文法書は、私が中学生の家庭教師をしていたときのものです。
つまり10年ぐらい前のものになりますが、今も大きく違ってはいないだろうと思っています。

 

あれ?
最小の単位は「形態素」では?

(; ・`ω・´)

……専門書と義務教育の教科書とでは、想定読者が違うから、こういう差異が出てきますよね。

ということで、「厳密さ」と「わかりやすさ」、どちらを優先するのかで変わってくるのかなーって思います。

 

厳密に言えば、「させていただく」は謙譲「語」ではないけれど、わかりやすくザックリ言えば、「謙譲語」でいいんじゃないですかね~
っていうのが結論です!

 

ちなみに、「させていただきます」については、以前、以下の記事を書きました。

こちらも、ご参考までに~

 

 

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「や」の使い方

二つ以上の単語を並べるのに「や」を使うとき、次のどちらの書き方をしますか~

_

 

英語では

A , B and C

って書くとか。
(根拠は未確認です)

公用文では

A、B及びC

って書きます。

ということは2.が正式なのかな?

 

みんなに聞いてみた

TwitterとFacebookで友だちに聞いてみました。

こんな細かいこと? 答えてくださった方の数は多くはないですが……

Twitterでの投票結果は次のとおり、1.が14人、2.が5人でした。

Img_5548

 

Facebookでは、1.が11人、2.が2人。

特に1.と答えた人は、公務員が圧倒的に多かったのには驚きました。

私は1.が好きなんですけどね😅

 

なぜ小田は1.が好きなのか

「A、B」と書かれると、

「あー、AとBか~」

って思ったとします。

でも、

「A、B、C、DかEのうち、どれか一つ」

って言われたら、

「え? A and B and C and ……じゃなくて、A or B or C or ……だったのかー💦」

って、ビックリすることもあると思うんです。

「A」じゃなくて「国民健康保険被保険者証」とか長い単語だと特に。

こういうときは、脳に処理負荷がかかっているらしいです。

(パソコンで言うと、なかなか画面が切り替わらないとか、フリーズするとか、ウィーーーン! ってうなり声をあげている感じ?)

ま、とにかく、だから私は1.が好きなんですよね~

 

ガーデンパス効果

例えば、

警官が犯人を捕まえた

って言われると、こんなシーン↙↙↙を想像しませんか。

1_20220723165801

でも、

警官が犯人を捕まえた男性に礼を言った。

と最後まで読んでみて、

「え? 犯人を捕まえたのは
 警官じゃないのか!
 犯人を捕まえたのは
 ほかの人で、その人に
 警官がお礼を言ったのか~」

って、考え直すわけです。

2

こんなふうに、解釈のし直しが必要になる文は、読み手の脳に処理負荷がかかる。

この、「処理負荷」のようなものを「ガーデンパス効果」というそうです。

以下の二つの文だと、ガーデンパス効果は

X > Y (Xの負荷が大きい)

になったという実験結果があります。 

  • X 警官が犯人を捕まえた男性に礼を言った。
  • Y 犯人を捕まえた男性に警官が礼を言った。

(井上雅勝2012.「文の理解」福田由紀編著『言語心理学入門―言語力を育てる』pp.110-126,培風館)

つまり、X のほうが「理解しづらい」とか、「効率的に理解できない」(メンドクサイ)文だってことですよね。

 

結論! 「や」はどこに書く?

ということで、結局、「や」を書く場所は、次のどちらがいいのでしょうか。

  1. AやB、C
  2. A、BやC

法律や論文などのようなオカタイ文書では、2.だと思います。

ただ、そういう硬い文書では、そもそも「や」ってあまり使わないですよね。

硬くない文書では、理解しやすさを優先することが多いので、1.がおススメです。

いや、もっと言えば、「や」なんて使わずに、箇条書きにするのがベストです。

例えば、

以下の三つすべてが対象です。

  • A
  • B
  • C

という書き方です。

わかりやすさから言えば、これが正解でしょうね(笑)

 

 

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「標題」か「表題」か

「標題」と「表題」。
この使い分けはどのように考えたらよろしいでしょうか。

こんな質問をいただきました。

1

拙著『令和時代の公用文 書き方のルール―70年ぶりの大改定に対応』(学陽書房)にも、「標題」という言葉が何度も出てきます。

でも、一部、「表題」となっていることにお気づきでしょうか。

それはなぜなのか?
どう使い分けるのか?

以下にまとめてみました。

 

辞書を引いてみると……

明鏡国語辞典によると、「標題」も「表題」も同じ意味であるようです。

ただし、

  • 「標」の字は「目立つようにかかげる」の意(例:標語、標示)

なので、「標題のとおり」は、「(さっき既に)かかげた題(タイトル)のとおり」の意味になるかと思います。

ということで、一般的な「タイトル」という意味では、「表題」がいいのかもしれないと考えました。

『記者ハンドブック 第13版』(時事通信社)も『朝日新聞の用語の手引 新版』(朝日新聞出版)も、

  • 「標題」は特別用語(「標題音楽」という固有名詞にのみ使う)

と書かれていて、一般的には「表題」を使うようです。

なぜ「標題」と書くのか

では、なぜ拙著には「標題」と書いたのでしょうか。

それは、建議「公用文作成の考え方」にそう書いてあるからです。

そのため、拙著の「第6章 情報の示し方(文章の書き方)」の以下の部分は私のミスです。

つい「表題」と書いてしまいましたが、「標題」で統一すべきでした。

  • 「4 標題、見出しの付け方」(P.163)下から6行目
  • 「6 標題・見出しの適切な文字数」(P.166)6・7・10行目

申し訳ありません。

修正をお願いします。


国も地方自治体も、「標題」と書きます。

ただ、特に根拠はないようです。

役所は「標題のとおり」とか「標記の件について」が好きなんです(笑)

国の某職員の方にも聞いてみましたが、

「役所の示す文書、という観点から重みを加えようとしている面もあるかもしれませんねー」

という程度で話は終わりました。

結局、どっちなの???

メディアでは「表題」を使うわけですから、一般的には「表題」と書いたほうが無難です。

ネット上には、いろいろな情報があふれていますが、真偽のほどは定かではありません。

例えば、”「表題」はタイトルのことで、「標題」は見出しのことだ”と書いている人もいましたが、そんなことは初めて聞きました。

参考:「表題」と「標題」の違いとは?メールの件名ではどちらを使う?

※これ↗↗↗が正しいという意味ではないのでご注意を❗
(正直言って、違うんじゃないかと思います💦)

 

以下は私の考えですが、

A:「告示・通知等」(拙著では「公用文I」)では「標題」
B:「解説・広報等」(拙著では「広報文」)では「表題」

が適切なのかもしれません。

「記録・公開資料等」(拙著では「公用文II」)については、

  • 表記のルールはAに合わせる
  • それ以外の語彙などの表現方法はBに合わせる

というのが新しい「公用文の考え方」です。

そのため、「標題」と書くことになりますかね。

でも、「標題」がイヤ(笑)

ただ、私は「標題」「標記」という言葉自体を使ってほしくないのです。

役所の起案(民間では稟議書にあたるもの)のタイトルは、ハンコで押したように

○○○○○○について

です。

そして、文頭に

  • 標題について
  • 標題の件について
  • このことについて

に続けて「下記のとおり実施してよいか伺います」と書き起こします。

つまり、「標題」「標記」の「標」は、「この」という指示語と同じ働きをしているわけです。

これは役所特有の言語文化です。

一般的な文章では、文頭にいきなり指示語は使いません。

(指示語とは、「この」「それ」「あちら」などです)

特にメールなどで「標題のとおり」と書かれると、読み手はいったん標題に目を戻すことになります。

その手間を読み手に強いるのは、望ましくありません。

そのため私は、指示語としての働きを持つ「標」を、むやみに使ってほしくないと考えるのです。

※「標語」や「標的」までダメだとは言っていません。

もっと言えば、わざわざ「タイトル」と横文字で併記・解説しなくてはいけないくらいなら、「題名」って書けばいいじゃないかとも思ったりしますが(笑)

いかがでしょうか。

ご意見、ご感想をいただけるとうれしいです!

 

 

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新「公用文作成の要領」の影響その1 教科書が変わる!

12月8日から21日まで、「新「公用文作成の要領」(仮)」(案)に関する意見を募集しています▼

 

「公用文? 役所の文書でしょ? 興味ないし~」

Shutterstock_100136204


って言うなかれ。

あの、ちょー意味不明なお役所文章(笑)を
改善しましょう! って動きなわけですし、
学校の教科書や民間企業の文書にも
影響があるんですよー

1.学校2.企業3.身近な役所と、
それぞれ影響を考えてみます。

 

今回は、1.学校。

コンマからテンへ

小中学校の教科書で、横書きのものは、
読点「、」ではなく、コンマ「,」で
書かれているってご存じですか?

 

そんなことあるわけない!
という方も多いのですが、
そんなこと、あるんです。。。

 

参考:公用文の横書きのコンマ、時代遅れ?68年後の見直し案|朝日新聞(2020年12月27日 8時00分)※有料会員記事

 

そう。
「横書きではコンマを使う」って、
「公用文作成の要領」に書いてあるからなんです。

それを今回、70年ぶりに見直して、
「横書きではテンを使う」ということを
国語の専門家が提案したというわけです。

 

名→姓から姓→名へ

ほかにも、ローマ字で名前を書くときに、
Junko Oda と姓を後に書いていたものが、
Oda Junko と逆になるみたいですよ。

 

ちなみに、高校の国語の教科書も大きく変わります。

 

参考:22年度から使用、高校教科書 国語「現代社会のよう」 論理的思考養成に重点|毎日新聞(2021/3/31 東京朝刊)※有料記事

※これはまた、別の記事で書きたいと思っています。

 

ということで、次回は、
「新・公用文作成の要領」が
企業に与える影響について
書こうと思います。

 

 

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「させていただきます」考 再び

「させていただく」を、どうしても使ってしまいます。

「いたします。」では、相手に対する敬意がイマイチというか、少し突き放した感じがするのです。

「取り下げさせていただきます。」を「取り下げいたします。」と言うと、一方的に取り下げる感じがしてしまいます。

このような質問をいただきました。

 

結論から言うと、大切なのは、

(主に)相手(聞き手・読み手)に不快感を与えないかどうか

ということです。

そのため、時と場合によって、使ってよいかどうかの判断が変わります。

 

まずは「敬語の指針」でおさらい

「敬語の指針」(平成19年2月2日文化審議会答申)には、次のような説明があります。

基本的には,自分側が行うことを,ア)相手側又は第三者の許可を受けて行い,イ)そのことで恩恵を受けるという事実や気持ちのある場合に使われる。
(中略)
なお,ア ,イ)の条件を実際には満たしていなくても,満たしているかのように )見立てて使う用法があり,それが「…(さ)せていただく」の使用域を広げている。
(中略)
その見立てをどの程度自然なものとして受け入れるかということが,その個人にとっての「…(さ)せていただく」に対する「許容度」を決めているのだと考えられる。

……ということで、「許容」されるかどうかは、極論を言えば、個人の自由。

入学試験や検定試験を受けるのでなければ、「させていただく」を好きに使ってよいわけです。

ただ、私としては、使うべきではないと考えるケースがあります。

 

「させていただく」は怒りや敵意も表現できる

テレビドラマで、ときどき見るシーン。

事実と異なる記事を書かれた! 名誉棄損だ!

医師のミスで家族が命を落とした! 医療ミスだ!

訴えさせていただきます!


Ikari

 

これは、相手の許可を得ていない。

それに「恩恵を受ける」という感謝の気持ちでもない。

あきらかに「敵意」「怒り」ですよね。

昭和のドラマだと、夫婦げんかをした妻が、

実家に帰らせていただきます💢

と、夫に言い放つシーンもありましたね(笑)

 

こんなふうに、「敬語の指針」にある(ア)(イ)に当てはまらない使い方もあります。

それどころか、「第1 基本的な認識」に書かれている

敬語は,人と人との相互尊重の気持ちを基盤とすべきものである

といった記述にも当てはまりません。

 

でも、ドラマなどで見聞きするせいか、特に違和感がないですよね?

そのため、このような怒りや敵意により、あてつけで「させていただく」と言っているんだ……と受け止められることだってあると思いませんか?

相手が不快に思うおそれがある場合は、使わないほうがいいに決まっています。

 

「させていただく」を使わないほうが良いケース

では、どんな場合に不快に思われてしまうでしょうか。

例えば、役所で

  • 延々、待たされた
  • 高額な保険料や税額の通知が来た
  • 申請したのに却下された
  • せっかく来たのに窓口が閉まっていた
  • 家を出るときに家族とケンカをした

……などの理由でイライラしているとき。

「それは禁止させていただいております」

「本日は休館日とさせていただいております」

「様々な条件を勘案して決めさせていただいております」

「その日はワタクシ、休暇をとら(さ)せていただいております」

なんて言われて、カッチーーーーーン💢💢💢

ってこともあるかもしれませんよ~

 

というわけで、ご質問のケースは、相手が「取り下げろ」と言ったのであれば、相手の許可を得ているので、「取り下げさせていただきます」と言っても良いのではないでしょうか。

「取り下げろ」とは言っていないけど、ネチネチとケチをつけてきたから取り下げる……のであれば、相手との関係性や、そのときの状況、コンテクスト(文脈)によりますね。

対面であれば、しおらしい態度(表情)、声色で、思いは伝わるかもしれません。

メールなど活字だと、状況によっては怒りをかうこともあるでしょう。

取り下げろとは言ってないだろう! オレのせいにする気か?

とか、

安易に取り下げるんじゃなくて、指摘された部分の改善を考えろよっ!

とかって怒られるかも、な~んて思ったり。

 

そもそも敬語って、相手との距離があることを表すのです(ウチとソト)。

だから、「させていただきます」で距離を置かれてしまうと、「あ、怒った? なんか気に入らないのかな?」って思っちゃうかも。

私なら、「なるほど。おっしゃる通りです。これは○○(不公平、時期尚早ナド)でした。取り下げます。ご指摘ありがとうございます」なんて言っていただくと、ご機嫌です♪

 

 

ちなみに、「させていただきます」については、以前、以下の記事を書きました。

こちらも、ご参考までに~

 

 

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「お大事にされてください」は間違いですか?

  • 時間をかけてゆっくり「休まれて」ください。
  • お大事に「されて」ください。

ついつい使ってしまうのですが、これも敬語の誤用でしょうか。

 

1095100_s

 

こんな質問をいただきました。

この方の違和感の原因は、三つあると思います。

順に解説します。

違和感1 「お(ご)~する」は謙譲語では?

「お(ご)~する」は謙譲語です。

例えば、「聞く」という動作の場合、

  • 「先生が私に聞きになる」(尊敬語)
  • 「私が先生に聞きする」(謙譲語)

といった使い分けをします。

つまり、

  • 「聞く」という動作をする人(動作の主体)を敬いたいときは、尊敬語を使う
  • 「聞く」という動作をされる人(動作の客体)を敬いたいときは、謙譲語を使う

わけです。

 

では、

「先生、お大事にされてください」

は、誰が誰を「大事にする」のでしょうか。

 

……「先生が先生(自分自身)を大事にする」のですよね。

そう考えると、謙譲語を使って、「大事にする」という動作をされる人(客体)を敬うのは、まんざら間違いでもないかもしれません?!

でも、「大事にする」という動作をする人(主体)も敬いたい……ということで、「される」と尊敬語も使ってみた、というところでしょうか?!

(「間違いだ」と明言すると、「言葉狩りだ!」と非難・攻撃され、「言葉狩り狩り」※に遭うのも怖いので 笑)

※言葉の使い方を「間違っている」と指摘すると、「言葉狩り」だと言われることがあります。そのような「言葉狩り」を批判することを「言葉狩り狩り」と表現しています。「オヤジ狩り狩り」的な(笑)

 

違和感2 「れる」は尊敬? 受け身?

「れる(られる)」という助動詞には、

  1. 可能
  2. 自発
  3. 受け身
  4. 尊敬

と四つの意味があります。

そのため、「先生、お大事にさてください」と言うと、「家族とか誰かに大事にされる」といった「受け身」にも解釈できますよね。

 

ということで、間違いだとは言いませんが、私は「お大事になさってください」と言います。

 

違和感3 「される」 < 「なさる」 の気がする……

ちなみに、「休まれてください」に関しては、特に間違っているわけではありません。

(「お休みされてください」はちょっとダメかなwww)

でも、私なら「お休みください」と言います。

 

……と、ここまで説明して、質問者ご本人は、

「お大事になさってください」を使える大人を目指します

とのことでしたが、いまひとつ、腑に落ちないご様子。

おそらく、

なぜ、「されてください」に違和感があり、「なさってください」だとイイ感じがするのか

ということに対して、今度はモヤモヤしたのではないでしょうか。

 

それについては、

先生が言われた

と言うより、

先生がおしゃった

と言ったほうが、なんかカッコいいですよね。

それと同じなのだと思います。

 

「れる(られる)」をくっつければ、たいていの動詞は尊敬語にすることができます。

でも、「おっしゃる」とか「召しあがる」、「お越しになる」といった表現のほうが、「ちゃんとした感」がありますよね。

逆に「れる(られる)」は、「尊敬」以外にもいろんな意味を持つ助動詞ですから、「お手軽感」があるというか。

 

だから、「お(ご)~なさる」という表現のほうが、「ちゃんとした敬語」感があるんだと思いますよ。

そんなことをお伝えしたら、「とても腹落ちしました」とのことでした。

めでたし、めでたし✨

 

このような、言葉に対する「違和感」、「モヤモヤ」、ありませんか。

ご質問、お寄せくださいね♪

 

 

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Q:「鈴木課長様」は、おかしいのでは?

ご質問を三つ、いただいたので、
ここでお答えをシェアします。

(同じような質問をいただいたときのために) 

Q1:
「鈴木課長様」は、おかしいのでは?

A1:
はい。「鈴木課長」か「鈴木様」のどちらかが一般的です。

 

■「課長」は敬称

例えば、鈴木さんというお名前の課長がいらっしゃるとします。

その部下や、外部の方が鈴木さんを呼ぶとき(宛名など)は、

  • 鈴木様

か、

  • 鈴木課長

になります。

この場合、「課長」も「様」と同じ「敬称」です。

 

そのため、内部の人が外部の人の前で鈴木さんの名前を呼ぶときは、

  • 弊社の鈴木が

とか、

  • 課長の鈴木が

と、たとえ自分の上司であっても、呼び捨てにします。

 

■「課長様」は「様様」

「課長様」と言うと、ある意味、「様様」と言うのと同じです。

敬称を含む敬語は、たくさん使えば使うほど、敬意が高まるというものではありません。

二つも三つも重ねると、バカ丁寧すぎて、かえって失礼に当たる――「慇懃無礼(いんぎんぶれい)」と言われかねません。

私も、「小田先生様」という宛名を見たときは、ちょっと不愉快になりました(笑)

 

Q2:
「広報課長様」も、おかしくないですか?

A2:
そうとも言えません。

組織内のポストに宛てた場合は、そのような書き方も許容できるかと思います。

その人、個人ではなく、組織内の特定のポストにある人に対して、連絡などをする場合は、「役職名+様」という書き方もアリかと思います。

 

Q3:
「鈴木課長様」はおかしいと思うけど、「様」を付けないと、「失礼だ!」と思われないでしょうか?

A3:
確かに、そう思う方もいらっしゃるでしょう。

言葉はコミュニケーションツールです。
正しさにこだわり過ぎず、相手やその場の雰囲気に合わせることも大切です。

 

以上、簡単ですが、質問へのお答えでした。

敬語や敬称について詳しく知りたい方は、
以下の拙著をお読みいただけると
うれしいです((( ´•౪•` )💦💦

 

 

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単語登録ができない! 変換がうまくできない!

数日前から、単語登録ができなくなり、
そして今日は、単語変換もできなくなりました。

 

私は、ユーザー辞書に
短縮読み」をたくさん登録しています。

 

例えば、「こと@」で変換キーを押すと、
変換候補に、

「ことのは本舗」
「ことのは本舗の小田順子です。」

が表示されます。

 

「いつ@」で変換すると、

「いつも大変お世話になっております。」
「いつもお世話になっております。」

が表示されます。

こうして、効率的に文字入力ができるんです

続きを読む "単語登録ができない! 変換がうまくできない!"

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