■相手の立場に立った情報提供
―ダイアログ・イン・ザ・ダーク
先日、ある自治体職員から、とてもうれしいメールをいただきました。メールには「“ダイアログ・イン・ザ・ダーク”に参加してきました。著書(※1)を読んで、ずっと参加してみたいと思っていたのです」と書かれていました。
“ダイアログ・イン・ザ・ダーク”とは、エンターテインメント形式のワークショップで、<完全に光を遮断した空間の中へ、何人かとグループを組んで入り、暗闇のエキスパートであるアテンド(視覚障害者)のサポートのもと、中を探検し、様々なシーンを体験>するものです(※2)。中は本当に真っ暗で、「目が慣れる」ことはありません。全盲のアテンドと白杖(はくじょう) 、「初対面の仲間」の声だけが頼りです。仲間の声とは、「田中(自分の名前)は、今、橋を渡りました!左右に竹があって、その間を通る感じです」、「鈴木(自分の名前)も渡りました!丸太が3本の橋ですから、真ん中を通れば落ちませんよ!」といったものです。
例えば、「ここに赤い橋があります」と言われたら、「ここ」がどこかわからず、色も見えません。見えないことを前提に、相手の立場に立って情報を提供しなければ、仲間は川に落ちてしまうかもしれません。木に激突してしまうかもしれません。これは、Webアクセシビリティ(※3)も同じではないでしょうか。