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「させていただく」って謙譲語?

「させていただく」って、謙譲語じゃないですよね?

文化庁の敬語の指針には「…ていただく」は、謙譲語ってのってるので、いただくをつけること自体はいいとおもうんだけど

「させていただく」を、単体として謙譲語ですって表記してある書類を見てね。気になっちゃって。

こんな質問をいただきました。

そうですよね。
この方のように、「形態素」がわかっちゃう人は、ここに引っかかりを感じてしまうのではないかと思います。

「形態素」とは
形態素(morpheme)という単位は、意味を表す最小の記号で、それ以上小さく分割することができないものです。
『言語学の仕組み』(町田健著/研究社)より

例えば「お休みさせていただく」を形態素に分けると、次の図のようになります。

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国立国語研究所の形態素解析ツール「Web茶まめ」による解析結果

 

つまり、「させていただく」は、

「させ」+「て」+「いただく」

と、複数の形態素で構成されているわけです。

この中の「いただく」が謙譲語なんじゃないの?
っていう疑問です。

 

私もそう思います。
でも、念のため、辞書を引いてみました。

 

辞書によれば「させていただく」は謙譲語だけど

辞書で「させていただく」を引いてみると、次のように書かれていました。

させていただく(連語)
「(Aに)させてもらう」の謙譲語
自分の行為について 、A に~させてもらうのだという捉え方をし、さらに「いただく」と謙譲語を用いて A を高める言い方。
A の許可を得て行う場面や、 A の意向によって行うと見なせる関係の場合に使う。
『明鏡国語辞典 第2版』(北原保雄編/大修館書店)より

(このほか、語法や注意事項が詳しく書かれているので、読んでみてくださいね)

 

「謙譲語」って書いてありますね!
ということは、「させていただく」は謙譲語……と言っても間違いではないのでしょう。

 

でも私は、
”「させていただく」が丸ごと謙譲語っていうのはおかしいんじゃない?”
というご意見にも賛成なんです。
「謙譲表現」くらいがイイんじゃないのかなぁ、と思っています。

 

そもそも、「語」って何なんでしょうか?

 

「語」って何だろう?

「語」を辞書で調べたら、次のように書かれていました。


一 名詞
(1)ことば。ことば遣い。また、言語。
(2)単語
二 造語成分
(1)かたる。はなす。(例:語気、語調)
(2)物語の略

『明鏡国語辞典 第2版』(北原保雄編/大修館書店)より

 

うーん、ざっくり(笑)
何でも含まれちゃう感じ。

 

ちなみに、私の本棚には、言語学の書籍がたくさんあります。

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でも、「語」の定義が書かれているものは、見つかりませんでした。
そこで、「単語」について調べてみると……

 

実は単語という単位はヨーロッパの文法で昔から使われてきた定義がそれほど明確ではないものなのです。
大雑把に言えば意味的にある程度のまとまりがあって文を構成する要素として一番小さな単位だと考えても構わないもののことです。
(中略)
「見る」とか「走る」という動詞そのものの意味を考えようとする場合などには、単語という単位を使うだけで済ませられるでしょう。
しかし動詞群全体のことを分析したり、名詞でも、例えば「お米」とか「暑さ」のような、複数の形態素からなるもののしくみを考えようとする場合などには、形態素にまで踏み込む必要があります。

『言語学の仕組み』(町田健著/研究社)より

とのことなのです。

「基本的には形態素を、文を構成する最小の要素として考えていく方が厳密な議論ができる」とも書かれていました。

 

一方で、厳密さよりもわかりやすさを優先すべき状況ってあるじゃないですか。
例えば、義務教育の国語の授業とか。
子どもたちにあんまり難しい、学術的なことを厳密に教えたって……ね(笑)

ということで、中学校の文法書を見てみました。
すると、

 

単語とは
意味を持った最小の単位
『的確につかむ文法の学習』(浜島書店)より

 

と書かれていました。

 

この文法書は、私が中学生の家庭教師をしていたときのものです。
つまり10年ぐらい前のものになりますが、今も大きく違ってはいないだろうと思っています。

 

あれ?
最小の単位は「形態素」では?

(; ・`ω・´)

……専門書と義務教育の教科書とでは、想定読者が違うから、こういう差異が出てきますよね。

ということで、「厳密さ」と「わかりやすさ」、どちらを優先するのかで変わってくるのかなーって思います。

 

厳密に言えば、「させていただく」は謙譲「語」ではないけれど、わかりやすくザックリ言えば、「謙譲語」でいいんじゃないですかね~
っていうのが結論です!

 

ちなみに、「させていただきます」については、以前、以下の記事を書きました。

こちらも、ご参考までに~

 

 

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