略語・略称の書き方
今日は、質問への回答です。
『令和時代の公用文 書き方のルール―70年ぶりの大改定に対応』(学陽書房)のP.98にある「略語への対応」に関連して、次の質問をいただきました。
規程においては大抵、最後の方に改廃条文(規定)が出てきます。この場合、上の方の条文の中で、「○○○○○○理事会(以下、理事会という。)」という記載をしていれば、最後の改廃条文でも、「この規程の改廃は、理事会の議を経て……」と略すのが普通と思います。
ところが、ある人に「改廃条文はきわめて大事なので、正式名称を記載すべきだ」と指摘されました。
上の方からずっと略していて、この条文の箇所だけ正式名称に戻すのは、整合性がとれないと思いますが、いかがでしょうか。
はい。
ご指摘のとおりですね。
略語を使うときは、初出で「以下、○○という」などと書いて、後はずっと略語を使います。
逆に、略したり略さなかったりすると、わかりにくくなりますよね。
また、規程など、法令文に準じて書く必要がある文章では、「大事だから」という理由で、赤字にしたり下線を引いたりといった「強調」表現をしないことにも通じるかと思います。
ただ、私は法令文の専門家ではないので、専門書で調べてみました。
『新訂 ワークブック法制執務 第2版』(法制執務研究会 編集/ぎょうせい)P.99には、次のように書かれています。
- 略称規程は、(中略)通常、当該法令文中でその表現が最初に用いられるところで、括弧書きにより書かれることになる
- 定義規程も略称規程も、特にその及ぶべき条項を限定した場合を除いては、その法令の附則及び別表等にも及ぶものとされている(ただし、一部改正法の附則には及ばない)
ちなみに、「法律の専門家」というと、弁護士など士業の先生が思い浮かぶかと思います。
でも、士業の方は、契約書や約款などを書くことはあるかもしれませんが、法律を書くことはないのでは。
そういう意味で、「法令文を書く専門家」として、官僚……つまり、国のお役人で法律を作っていた方に聞いてみたんです。
「法律の書き方って、どうやって学ぶ? 調べる? んですか?」って。
その答えが、『ワークブック法制執務』だったというわけです。
条例、規則、規程、要綱などを書くときは、これで調べたほうがいいですね。
契約書や約款なども同じかと思います。
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