研修・講演会のアンケートの作り方
社内研修や講演会につきもののアンケート。
あなたの職場では、次のどちらのタイプですか。
アンケートタイプA
- 「講師の話し方は、わかりやすかったですか」
- 「配布資料は、わかりやすかったですか」
- 「研修(講演)内容は、役に立つと思いますか」
といった、講師や委託事業者に対する評価を聞くもの
アンケートタイプB
- 「今日の研修(講演)で、あなたは何を学びましたか」
- 「今後、どのようなことに気をつけようと思いますか」
- 「研修(講演)内容を、今後の仕事にどのように取り入れますか」
といった、受講者の気づきや意欲を問うもの
さて、どちらがいいと思いますか。
これは、研修・講演会の目的によって異なります。
研修・講演会の内容を、
- 受講者に深く理解してもらうこと
- その上で、職務に生かしてもらうこと
- その結果、組織のパフォーマンスが向上すること
このような目的であれば、タイプBのアンケートが効果的ですよね。
このアンケート項目に意識を集中して参加できるので、
研修・講演会の開始前にアンケート用紙を配っておくとベター。
私が講師を務めた講座では、AのほうがBよりやや多い。
これは、自治体(役所)での講演が多いからでしょう。
民間企業で、タイプAのアンケートには、お目にかかったことがありません。
タイプAのアンケートは、次のようなデメリットが考えられます。
- 受講者の意識が、講師などの「評価」に向かってしまい、内省がおろそかになる
- その結果、個人・組織のアウトプットが期待できない
確かに、講師や研修・講演会の内容を評価し、
改善につなげることにも価値はあります。
ただしそれは、講師や事業者にとっての価値です。
研修・講演会を実施する組織にとっての価値は、
お金を払って実施した結果、個人や組織のパフォーマンスは向上したのか
という視点で評価すべきではないでしょうか。
「良かった」「悪かった」という受講者の主観的な評価は「おまけ」に過ぎません。
特に自治体(役所)では、税金を使って
研修・講演会を実施するのですから、
市民に対してどれだけ価値を生み出すか
が、評価すべき点であるはずです。
勤務時間中に、担当業務を離れ、
無料で学びの場を提供されるのですから、
一つでも多くのことを学び取って、一つでも多く、市民にフィードバックをするぞ
という姿勢で臨んでほしいものです。
- 毎年、実施することになっているから
- 上から言われたから
- ほかの自治体も実施しているから
といった動機からの研修は、研修の目的が、
「研修を実施すること」になってしまっています。
それでは研修の効果は期待薄・・・
こういうケースのご依頼は、私はお断りしています。
税金から報酬をいただくのは忍びないからです。
そうそう、私がある市役所で研修をしたとき、
その市に住む方から、おもしろい提案がありました。
市民も参加させてくれればいいのに。
市役所の職員と一緒に市民が研修を受ける。
そしたら、市民も無料で学べるし、
市役所の職員が学んでいる姿も見られるしさ。
う~む、さすがです。
すんごいアイデアです
研修に参加した職員が、自分のアウトプットを
市民に評価されるしくみですね。
これならアンケートなんていらないかも。
実施する自治体、ぼしゅー
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