【気になる言葉】見させていただきます
事前に見させていただきます
うー、気持ち悪い・・・。
気持ちいいのは
事前に拝見します。
ですね。
何がいけないのか?
「見る」より「拝見する」のほうが丁寧だから?
・・・違います。そういうことではないんです。
「させていただく」の乱用については、拙著をご覧いただくとして・・・
※「言いたいことが確実に伝わるメールの書き方」(明日香出版)では、P.95、「公務員の文章・メール術」(学陽書房)では、P.197に書いてあります。
そもそも、「させていただく」は、「○○する」という動詞につけるべきです。
「拝見する」とは言うけれど、「見する」とは言わないですよね。
「敬語の指針」(平成19年2月2日文化審議会答申)には、次の例文があります。
- コピーを取らせていただけますか
- それでは、発表させていただきます
これは、
- 取る→取らせて
- 発表する→発表させて
となっていますよね。つまり、
- 「~する」という形の動詞
→動詞+「させていただく」 - それ以外(取る、見る)
→動詞+「せていただく」
です。
「見させていただく」「取らさせていただく」「行かさせていただく」……(笑)
気をつけましょう~
ちなみに、「デジタル大辞泉」には、次のように書かれています。
[動サ下一]
[文]さ・す[サ下二]《サ変動詞「す」の未然形「せ」に使役の助動詞「さす」の付いた「せさす」の音変化から》
(中略)
させていただく[成句]
相手に許しを請うことによって、ある動作を遠慮しながら行う意を表す。「私が司会を―・きます」
2021年11月16日 追記
令和2年度の「国語に関する世論調査」で、この言葉が取り上げられました。
「Ⅳ 言葉遣いに対する印象や、慣用句等の認識と使用」で、「二つの言い方のうち、あなたが普通使うものはどちらですか」という設問です。
結果は、以下のとおりです。
- 「絵を見せてください」 69.9%
- 「絵を見させてください」 28.8%
さらに、次の解説があります。
「見せてください/見させてください」は、どちらも文法的には問題のない表現である。「見せてください」は、下一段活用の動詞「見せる」の連用形に接続助詞「て」と「ください」が付いた形、「見させてください」は、上一段活用の動詞「見る」の未然形に、使役の助動詞「させる」と「て」と「ください」が付いた形である。
確かに、「文法的には」問題のない表現ですね。
ただ、「使役」です。
歩かせる↓
歯医者に行かせる↓
歯を磨かせる↓
「見せる」ではなく「見させる」って、こんなイメージしか浮かばない(笑)
ちなみに、つい最近、「見ささせていただきます」という言い方にも遭遇しました。
もう、カオス。
この激しい言語変化に、私はついていけないかも。。。
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