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Web コンテンツの著作権 ―学校で教えてくれなかった法律

■誰も教えてくれない「著作権法」
―自治体職員のネットリテラシー

 今や義務教育でも、インターネットを利用する際のルールやマナー、セキュリティ、著作権などの法律に関する授業を行っています。私の時代は、そのような授業はなく、すべて独学です。区役所在職中も、教わった記憶はありません。自ら学ぼうとしない限り、誰も教えてはくれないのです。

 ところが、著作権の侵害は「犯罪行為」で、告訴された場合、懲役刑や罰金刑に科される可能性があります。特に法人等による侵害の場合、最高で「3億円以下の罰金」です。そんなことになったら大変です。

 そこで、ご存知のことばかりかもしれませんが、念のため、自治体のWebサイトに関連する事項をまとめてみたました。

■著作権とは?
―著作者人格権と財産権

 著作権とは、「著作者人格権」と「著作権(財産権)」のことを指します。これらは〈著作物が創作された時点で「自動的」に付与され〉ます。「著作物」とは、〈「思想又は感情」を「創作的」に「表現したもの」であって、「文芸、学術、美術又は音楽の範囲」に属するもの〉です(※1)。ここには、「原稿なしの講演」や「即興の歌」なども含まれます。

 ただし、権利取得のための「登録制度」などは禁止されています。よく見かけるコピーライト表示は、著作権者が誰かを明示する程度のもので、法律的な意味はほとんどないのだそうです。

 登録制度がないと、誰に権利があるのかわかりにくいですよね。また、法律の文章は理解が難しいので、ついついルーズになってしまうこともあるのではないでしょうか。

■二次利用はOK ?
―メディア連携の注意事項

 イベントなどで、ポスターやチラシ、ビデオの制作を事業者に委託することがありますよね。その場合は、Webページにポスターのイラスト、写真などを表示したり、サイト上で動画を配信したりして、視覚や聴覚で直感的に理解しやすいコンテンツにすると広報効果が高まります。

 ただし、制作者に許可なく掲載すると著作権法違反になります。本来の目的以外に、Web上でも使えるように、〈発注の時点で「全ての著作権(著作権法第27条及び第28条の権利を含む)を発注者に譲渡する」〉(※1)といった文言を契約書に盛り込み、あらかじめ許可を得ておくことが必要です。

※1 文化庁『著作権テキスト 22年度版』より
  http://www.bunka.go.jp/chosakuken/pdf/chosaku_text_100628.pdf

■わからなければ大丈夫?
―著作権侵害が露呈するしくみ

 他人の文章をちょっと拝借したところで、簡単には見つからないだろうと思ってはいけません。インターネット上には、様々な便利ツールがあるのです。

 例えば「Googleアラート」は、特定のキーワードを含む文章が掲載されたことをメールで知らせてくれる機能です。私は「役所のサイト わかりにくい」、「JIS X8341 改正」などのキーワードをセットしているので、誰かが私の文章を加工して掲載していたら、すぐに気づきます。同様の仕組みで、同じ話題のページを集めて自動表示しているサイトも多くあります。

 文章がどれだけ似ているかチェックできる無料ツールもあります。例えば、図のような状態は「たまたま似てしまっただけ」と言えるでしょうか。

2_

 これは、文章の修正履歴をチェックするツール「差分君」(※2)で2つの文章の差分をチェックしたものです。チェック結果は、元の文章に「追加した部分」が下線付きの赤字で、「削除した部分」は取り消し線付きの青字で表示されます。

 これを見ると、文言を追加・削除しても文章の骨子が同じであることは分かりますよね。「考え方が同じだったから似ているだけ」という言い訳は、ちょっと無理があると思いませんか。

※2 文章の差分チェッカー「差分君」
  http://tool.satoru.net/diff/

■引用ならば著作権の侵害にならない?
―引用のルール

 著作権の例外として、「引用」があります。〈カギ括弧などにより「引用部分」が明確になってい〉(※1)て、出典が明示されていれば、それは引用であり、著作権を侵害するものとはみなされません。

 ただし、引用する分量が〈「正当な範囲内」であること〉や、〈引用部分とそれ以外の部分の「主従関係」が明確であること〉(※1)も、引用なのか、著作権の侵害なのかを判断する基準の一つです。他人の書いた文章を、部分的に変えて掲載するのは、引用ではなく著作権法違反になります。

 また、「新聞の論説等の転載」については、〈転載・放送・有線放送を禁止する旨の表示がないこと〉(※1)という条件もあります。新聞社のサイトには、「無断転載禁止」と明記されているため、引用であっても無断ではできないことになります。

 当然のことながら、記事をスキャナーで読み取り、Webサイトや庁内ネットワークに掲載すること、新聞を置いて住民に自由に読んでいただくことも禁止です。社団法人日本新聞協会のウェブサイトにも、注意事項(※3)が掲載されているので、一度ご覧ください。

※3  「ネットワーク上の著作権について―新聞・通信社が発信する情報をご利用の皆様に」1997(平成9)年11月6日第564回編集委員会(社団法人日本新聞協会)
 http://www.pressnet.or.jp/info/kenk19971100.htm

■法廷で争う前に
―ちょっとした心配りを

 今回は、私の著書から抜粋し、加筆・訂正して記事を書きました。自分の著作物ですから、本来は自由に使っていいはずですが、念のため発行元企業に確認し、参考文献として掲載しています(※4)。

 著作権を侵害しているかどうかは、最終的には法廷で争うことになるでしょう。そのような事態を招かないよう、判断に迷ったら「ひと声かける」。そんなちょっとした心配りが必要ですね。

※4 参考文献
  「 自治体のためのウェブサイト改善術 ―広報担当に求められるテクニックとマインド」(小田順子著 /時事通信社)

 

小田順子プロフィール

1965年生まれ。1992年、東京中野区に入区。小学校、国民健康保険課、情報システム課、広聴広報課、保健所を経て、2007年3月退職。現在は広報 コンサルタントとして、自治体、公益団体、NPO法人や士業事務所など公益性の高い組織・個人を支援。日本災害情報学会会員。放送大学大学院修士課程文化 情報プログラムに在籍

※この記事は、地方自治情報センター発行『月刊LASDEC』平成23年2月号に執筆した記事をHTML化し掲載しています。掲載に当たっては、地方自治情報センターの承諾のもと掲載しています。

 

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