わかりやすく伝える技術
『わかりやすく<伝える>技術』(池上彰著、講談社現代新書)を読みました。
池上彰さんは、NHKに32年間、報道記者として勤めていた方。
現在はフリージャーナリストとして活躍されています。
テレビでおなじみの、あの柔和な笑顔。
政治や経済など、難しいことを、誰にでもわかるように解説していますよね。
この書籍から学ぶことは多く、
ほぼ全文に線を引きたいくらいでした。
ひとつだけご紹介すると、
「接続詞は使うべきか否か」
という疑問に対する答えが秀逸!
これは、私自身が、ずうーっと
気になっていたことなのです。
小説やコラムはともかく、
論理的な文章を書きたいときは、
接続詞を使うべし!という人と、
極力、使わずに書こう!
という考え方の人がいます。
私は「なるべく使わない派」ですが、
これは、著名なライターさんでも
意見が分かれるところです。
「接続詞活用派」の方が言うには、
接続詞を入れることによって、
文と文との関係を明確にできる、
論理的でわかりやすくなる、と。
う~ん、う~ん・・・なんか違う・・・。
この「何か違う」を池上さんの言葉で説明すると・・・
論理的に流れていれば、接続詞はいらないのです。逆に言えば、接続詞を多用している文章は、実は論理的ではない文を、接続詞で無理やりつないでいることが多いのではないでしょうか。
(池上彰『わかりやすく<伝える>技術』講談社現代新書p62)
なるほど。スッキリしました
本書では、こんな例文が挙げられています。
このグローバル化時代に対応するため、わが社の戦略を改めて見直す必要があると思います。
そして、組織改革も必要になります。だから、次のようなプロジェクトチームの発足を提案します。
(同書p173より)
はて?
- 戦略の見直し
- 組織改革
- プロジェクトチームの発足
この3つの関係はどんなものでしょうか。
レベルが違うものを「そして」でつなぎ、
因果関係が不明瞭なものを「だから」でつなぐ。
これでは論理的とは言えません。
論理的っぽく見せかけているだけです。
逆に、論理的に整理されていれば、
接続詞など無くてもわかりやすいのです。
参考までに、接続詞について書かれている
第8章第1節の見出しを挙げますね。
第8章 「日本語力」を磨く
1 使いたくない言葉 ―無意味な接続詞
- 「そして」はいらない
- 「ところで」何なの?
- 「話は変わるけど」は相手を否定
- 「こうした中で」はどんな中?
- 「いずれにしましても」は話をチャラにしてしまう
- 「が」はいらないが
- 「○○したいと思います」は余計だと思います
- 「週間実話」か「習慣実は」か
本書は、主に話術について書かれていますが、
文章術にも通じるところがたくさんあります。
だから(→不要)おススメの1冊です
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コメント
>大阪の子育て主婦 トモの日記 さま
おはようございます
新宿は空が明るくなってきました。
今日も素敵な一日になりますように
投稿: CSMSライター:小田順子 | 2010/08/09 10:46
おはようございま~す
朝の応援ポチ!!
投稿: 大阪の子育て主婦 トモの日記 | 2010/08/09 08:11