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分かりやすいWeb文章(Writing)の構造 ―パブリシティ、昇任試験にも応用が効く文章術

■論理的な文章は理解しやすい

 分かりやすい文章とは、小説のように読者が想像力を働かせて読む文章ではなく、話の展開が予測できるような論理的な文章です。

 推理小説は、最後まで犯人や手口が分からないから面白いのですが、新聞は事情が異なります。何が起こったのか、最後まで読まなければ想像もつかないようでは困りますよね。自治体の広報紙やWeb文章も同じです。

 論理的な文章を書くためには、次のような方法で「文章を構造化すること」が大切です。

 

5月号「分かりやすいWeb文章(Writing)の構造」を印刷して読む(PDFファイル 792.9KB)

 

  1. パラグラフ(段落)に分ける
  2. パラグラフに見出しを付ける
  3. 結論は先に書く

 こうすることにより、文章の構造を明確に し、これから伝えようとしていることのアウトラインを最初に示すことができます。

1.パラグラフ(段落)に分ける

 小論文など論理的な文章を書く場合、文章を構成するパラグラフの数は、序論×1、本論×3、結論×1の五つとすることが一般的です。

 序論では、「事の起こり」や「そもそも論」ではなく、論点の予告、結論を書きます。本論で、その理由や具体例などを挙げて詳しく説明し、結論でまとめます。序論と結論で、同じ内容を繰り返すことになるので、結論は簡潔にします。

 各パラグラフも、序論・本論・結論の構成とし、次の3種類のセンテンス(文)を意識して書きます。

トピックセンテンス
  <序論:テーマ・論題の提示、予告>
サポーティングセンテンス
  <本論:具体例、理由、事例など詳細説明>
コンクルーディングセンテンス
  <結論:まと め> (図1)

文章構造を表にしたもの

図1  一般的な小論文の構造
出典:『月刊言語』2007年7月号「大学生のための言語トレーニング」(三森ゆりか)大修館書店

 一つのパラグラフには、1トピック(話題)だけを書き、他のトピックは書かないことが基本です。また、トピックセンテンスは、パラグラフの冒頭にあると読みやすくなります。途中のコンクルーディングセンテンスは、省略可能です。

2.見出しを付ける

 見出しは必ず付けましょう。新聞や広報紙、Webページの記事をすべて読む人はまれで、リード文や見出し、あるいは初めのほうに書いてあることを見て、興味を持てば続きを読みます。

 Web文章の場合は、見出しに適切な「タグ」(HTML言語における記述の一つ)を使用することも必要です。タグを付けることによって、コンピュータに対しても、見出しであることを認識させることができるため、「スクリーンリーダー」(ディスプレイに表示されている内容を音声で読み上げてくれるソフト)などを使用している視覚障がい者も、文章構造を把握しやすくなります。

 そのため、Webアクセシビリティの規格も、「ウェブコンテンツは、見出し、段落、リストなどの要素を用いて文書の構造を規定しなければならない」と規定しています(『JIS X8341-3 高齢者・障害者等配慮設計指針-情報通信における機器,ソフトウェア及びサービス-第3部』日本規格協会)。

3.結論は先に書く

 私が広報課にいたころは、文章を「逆三角形」で書くように指導されていました。この用語は『記者ハンドブック新聞用事用語集』(共同通信社)からの引用で、「結論は先に書く」という意味です。

 情報を正確に伝えるためには、「昔、昔、あるところに、おじいさんとおばあさんがいました」という「起承転結」の文章構造は適切ではありません。「伝えられる事柄の内容を早く限定したほうが伝達の効率が高い」(町田健『言語学のしくみ』研究社)のです。初めに「桃太郎は幸せに暮らしました」と結論を書き、その後、理由や経緯など詳しい情報を書く。この書き方は、読者の理解を助けるだけでなく、紙面の都合で文字数を調整する時にも役立ちます。

パブリシティは逆三角形の文章で

 このことを実践していたパブリシティ担当は、リリースした記事の8割以上が紙面に掲載されるという成果を残しました。パブリシティには、記者と読者と両方の立場に立った文章の書き方が要求されます。記者が記事を作成しやすい文章を作り、紙面への掲載率を高めることも大切です。

■文章力は強力な武器となる

 厳しい経済情勢の中、販売促進、就職活動など様々な場面で、文章力が強力な武器となっています。人を感動させる文章は難しいので、まずは分かりやすい文章を書けるようになることが成功への近道です。

 今回は、文章を5パラグラフに分けて書きました。それぞれのパラグラフは、二つまたは三つのセンテンスで構成されています。

 この書き方は、昇任試験などの論文にも応用できますので、ぜひ、試してみてください。

 

小田順子プロフィール

1965年生まれ。1992年、東京中野区に入区。小学校、国民健康保険課、情報システム課、広聴広報課、保健所を経て、2007年3月退職。現在は広報コンサルタントとして、自治体、公益団体、NPO法人や士業事務所など公益性の高い組織・個人を支援。日本災害情報学会会員。放送大学大学院修士課程文化情報プログラムに在籍

※この記事は、地方自治情報センター発行『月刊LASDEC』平成22年5月号に執筆した記事をHTML化して掲載しています。掲載に当たっては、地方自治情報センターの承諾のもと掲載しています。

 

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