SEOやウェブと言語学
なぜ、私がSEOの資格「CSMS」を取ったのか。
それは、SEOやウェブに興味があるからなのですが、おおもとは「言語」、「言語学」への関心なのです。
みなさんが関心をお持ちなのは、SEOやウェブだと思いますが、言語学との関係は、あまり具体的にイメージができないかもしれません。
この土日は、『月刊 言語』のバックナンバーを読み返していました。
その覚え書きで、ちょっとイメージできるかな
『月刊 言語』は、全世界で1万ともいわれる各国・各民族の言語。その個別性と普遍性、構造、人間・社会との関わりなど、言語のあらゆる情報を提供する、世界で唯一の月刊誌。
読み返して、特におもしろかったのは次の4冊です。
2007年7月号は「インターネットと言語研究」。
例えば、「コーパスとしてのWWW検索の活用」(荻野綱男/日本大学文理学部)は、「膨大な言語量を有するウェブを検索することで、貴重な実例や数量的に裏付けられた新しい知見を得ることができる」という書き出しです。
(Googleの研究者から聞いたらしいですが)Googleが扱う日本語の言語量は、数十億文、数百億語とか(2年前の話ですよ)。
しかし、一番おもしろかったのは、「大学生のための言語トレーニング」という連載(三森ゆりか/つくば言語技術教育研究所)でした。
小論文の基本的な構造を解説したものなのですが、これが実はSEOに関係が深く・・・。
思わず、三森ゆりかさんの著書を2冊も買ってしまいました
2007年12月号は「語用論の新展開」。
「語用論」って何
・・・というのは置いておいて、ものすごく魅かれてしまったのが「判決のゆくえを左右する言語分析」(堀田秀吾/立命館大学)。
イリノイ州では、言語学者の分析が決定打となって、死刑囚の再審が認められたという例もあるそうです。
テレビでよくある、犯人の声を聞いて「このアクセントは○○出身者に違いない」というものとはちょっと違います。
ちょっとした言葉の違いを見逃さず、客観的・論理的に分析する言語学者の意見は、商標の類似性や、目撃情報の信ぴょう性など、裁判の行方を、そして人の命を左右するほどの力を持っている。
「法言語学」。学ぶ価値がありそうです
2008年3月号は「大学生のための言語表現技法 ―”伝わることば”をどう書くか―」。
一押しは「工学系学生向け表現授業”日本語力教育”」(塚本真也/岡山大学工学部)。
簡単に言うと、国語嫌いの工学系学生たちに、技術文章力の必要性を納得させ、苦手のスキル習得に取り組ませてきた体験談です。
機械は設計図だけで作られているのではなく、それでは表現できない機微な部分を説明するための技術文章でも作られている。
したがって、技術文章が間違ってしまうと、人を殺してしまう恐れもある。
PL法で業務上過失致死罪に問われることも考えられる。
ことばは人の命を救えるのだ・・・とつくづく思いました。
2008年8月号は「言語処理研究の新展開」。
やはり命に関わるお話で、「感染症情報処理と否定現象との関わり」(川添愛、ナイジェル・コリアー/国立情報学研究所)では、ウェブ上から、感染症関連ニュースを自動的に取得するしくみも紹介されています。
これは、新型インフルエンザやコレラ、結核からおたふく風邪まで、様々な感染症の発生状況をGoogleMapで表示する「グローバル・ヘルス・モニター」のことで、(難しいことは置いておいて、)言語学的な手法と分析による成果です。
一人、興奮して長くなってしまったので、今日はこの辺で。
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