御食国(みけつくに)若狭と「鯖街道」
千年以上前から、天皇のお食料「御贄(みにえ)」を供給する「御食国(みけつくに)」のひとつだった若狭。
若狭湾で獲れた鯖に一塩して、夜も寝ないで京都まで運ぶと、着くころにはちょうどよい味になっていたと言われています。
これを運んだのが、「御贄(みにえ)」の道「鯖街道」です。
(写真は鯖街道スタート地点の醤油やさん?です)
若狭名産のカレイや小鯛、グジ(甘鯛)他、様々な海産物や、北前船から陸揚げされた多くの物資も盛んに輸送されたのだそうです。
逆に都からは、優れた仏教美術や詩歌、多くの芸能も招来しました。
今も若狭には「雅(みやび)の言葉」が残るといいます。
私が泊まったのは「旅愁・厨房 花しおり」。
海岸線に面した、淡いピンク色の建物の裏へ回ると、光沢のないいぶし瓦を葺いた屋根に、格子の窓枠。伝統的な建物の風体が姿を現します(「京町風裏玄関」というのだそうです)。
なんでも、海岸通から一本奥へ入った道は「重要伝統的建造物群保存地区」に指定され、鯖街道にふさわしい街並みを維持することが義務付けられているとか。
料理はもちろん、海のモノ三昧。
新鮮なトロや甘いかをはじめとして、カレイの煮付けに、サワラの頭、生牡蠣にふぐの白子とマツタケの鍋。セイコ蟹丸ごと、いくら丼に・・・
私にとっては父の墓参りにかこつけた贅沢。
「私の両親は福井出身なんです。
それで、蟹が解禁になる頃に、
毎年おいしいものをいただきに来るんです」
「あらまあ、それはよろしいですなぁ」
「でも小浜は初めてなんです」
「それはえらいすんませんなぁ。
この街にはなんにもあらしませんやろ」
「いえ、さっきちょっと散歩をしてきたのですが、
伝統的な建物が、街とうまく調和していて・・・
すてきな街並みですねー
こんな素敵な宿もあるし、
おいしい新鮮な魚は食べられるし、最高ですよ」
「まあ、おおきに」
「ところで女将さんは福井の方ではないですよね?」
「いいえぇ。生まれてこの方ずっとこの小浜です。
海が好きで離れられないのですわ」
「え?でも・・・両親や親戚とは言葉が全然違いますけど・・・
てっきり京都かどこかからいらした方かと」
「あら、ご両親は福井のどちらですか?」
「市内です」
「ああ、北のほうとは言葉がまったく違います」
「へぇー!そうなんですか???」
「へえ。もともとこのあたりは滋賀県だったんです。」
部屋に用意された寝床には、枕元に懐中電灯。枕の上には手作りの小さな唐傘。
言葉だけでなく、雅(みやび)な心遣いを満喫しました。
朝食はまた豪勢な品数。
目で満足で・・・やっぱり食べきれませんでした。
女将、本当にごめんなさい。
おいしかったし、くつろげました。
いろんなお話も聞けて、新しい発見も。
来年はもっとゆっくり若狭めぐりをしますので、よろしくお願いします。
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