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2-4 想定読者ごとのわかりやすさのレベル ―内容の品質

4 想定読者ごとのわかりやすさのレベル ―内容の品質

 佐藤理史らは、<重要な情報の伝達を目的としたテキストは、読みやすさを保証するようなガイドライン、あるいは、規格にしたがって書かれるべきである>とし、3段階、4部門からなる日本語文の平易度の規格を提案するとともに、文がその規格を満たすかどうかを判定するブログラムの実現法について述べている。(佐藤理史・土屋雅稔・村山賢洋・麻岡正洋・玉晴晴『日本語文の規格化』情報処理学会研究報告 2003年1月  Vol.2003 No.4)

 「日本語の平易度の3段階」は、次のようなものである。

平易度3
 最もやさしいレベル。生命の安全に直結する情報等、できるだけ多くの人々に最優先で伝達すべき情報(最優先情報)を記述するのに用いるレベル。
平易度2
 中間レベル。基本的な社会生活を営むのに不可欠な情報(重要情報)等を記述するのに用いるレベル。
平易度1
 最上位レベル。その他の情報を記述するのに用いるレベル。コンピューターの使い方など、比較的複雑な情報を記述するのに用いるレベル。

 これは<「想定する読み手が理解できることを最低限保証するような規格または仕様」があってしかるべき>という考えに基づくものであり、『日本語能力試験 出題基準』の3級、2級、1級を出発点とした3段階のレベルを設けることとしている(<4級は語彙や文法がかなり限られており、十分な表現力を有していない>との判断に基づく)。

 さらに、<文を単位とする方針>に基づき、平易度を測る物差しとして

  1. 漢字
  2. 語彙
  3. 文法
  4. 量的複雑さ(文の長さ、埋め込みの深さ等)

の4つの部門を設けている。
 平易度の3段階、4部門の組み合わせは表6のとおりである。

 これは、前述の「内容の品質」をも考慮した表現品質の分類と言えよう。

 例えば、本稿の想定読者は言語学の専門家や学生であり、小・中学生や日本語がよくわからない外国人ではない。
 したがって、一文を短くし、漢字率を下げ、専門用語を冗長な説明に置き換えると、かえってわかりにくくなる。

 逆に、行政の職員として、災害関連の緊急情報などを作成する際には、本稿のような文章では必要な情報が伝わらない可能性が高い。このような配慮が行政文書の内容の品質であろう。

表6 平易度の3段階と4部門
  部門 基準レベル
12309

1.漢字

日本語能力試験の『出題基準』の「漢字表」

1級
  2,040字

2級
  1,077字

3級
  284字

規格外 判定対象外

2.語彙

日本語能力試験の『出題基準』の「語彙表」

1級
  8,009字

2級
  5,035字

3級
  1,409字
  4級
  728字

3.文法

日本語能力試験の『出題基準』の「機能語の類」一覧+「敬語表現」一覧+日本語能力試験に準拠した教科書から抽出

記載なし

4.量的複雑さ

日本語能力試験の『出題基準』の「読解テストで使用する文の長さ」の大きい方の値に20%のマージンを付加

80字

55字

36字

(佐藤理史・土屋雅稔・村山賢洋・麻岡正洋・玉晴晴『日本語文の規格化』情報処理学会研究報告 2003年1月  Vol.2003 No.4)
(『日本語能力試験出題基準【改訂版】』(国際交流基金,財団法人日本国際教育協会,凡人社 2002)

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