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1-3 地方自治体の文書事務の基準

3 地方自治体の文書事務の基準

 表2は、『公用文作成の要領』と前述の区の『公文規程』、『公文規程施行細目』及び文書事務に関する手引きを対比させた一覧表である。

※文書事務に関する手引きは区の公式文書ではないため、ここでは掲載しない。

 行政で、「依命通知」は「依命通達」と比べて強制力はないが、それでもなお地方公共団体は、国からの「通知」に対しては、よほどの事情がない限り忠実に従うものである。
 そのため、昭和27年当時はもちろんのこと、平成の現代でも、そしてこの区のみならずどこの自治体も、『公用文作成の要領』などに即して文書事務を規定していることは調べるまでもないことである。

 以上のように、国も地方自治体も、文書をわかりやすいものにしようという姿勢は、20年以上前からあったようである。

※注 「依命通達」と「依命通知」

 一般に、法律の条文で細かい内容などを下位の法令に委任する場合、政令か省令によるべきであって、かつてはそれを「通達」という一片の紙切れで法律の解釈を事実上決めたり、地方公共団体に「指示」したりしていた。

 しかし数次にわたる地方分権改革を通じて、国と地方公共団体は対等だという原則が確認されたので、国は公共団体に「指示」(通達)をすることはできなくなった。
 そのため、かつての「通達」のように国の解釈を示す場合は、「技術的助言」としての「通知」によるのが最近のパターンである。

 このほか、法律で「大臣が定める」とあれば、「告示」として官報掲載する必要がある。 

 「訓令」は組織の内部管理用で、給与水準、服務規律などについて、あるいは一時的に組織を立ち上げる場合などに使うもので、組織外の人を名宛人にすることはない。

※注 表2の中で、国の規定したものと区の規程などが一致しなかった点

 横書きや仮名書きについてと、漢語調の表現については、現在、一般的に使用されていないため、敢えて規定する必要もなかったものと思われる。

 唯一、句読点とカンマの使い方に違いがあるが、総務省(旧自治庁)の「左横書き文書の作成要領」(1959年)では、「句読点は,『。』(まる)及び『、』(てん)を用いる。『,』(コンマ)は用いない。」とされていた。
 また、義務教育の教科書や新聞なども、カンマではなく句読点を使用していることから、区では、一般的な表記である句読点を採用しているものと思われる。

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